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我が道を行く東北人Tommyの日々の記録です。美味しいものをおいしく食べることが好きです。歌舞伎と落語が好きなチェロ弾きです。


by kazeyohuke-byun
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枯れた松。

昨日は妹の百人一首の大会のため、
家族みな早起きして松島へ行ってきました。


昨年よりは参加者が少ないと言えども250人近い参加者が集まり、
会場となった老舗ホテルの大広間では、
ぎゅうぎゅう詰め状態での試合が行われていました。

妹は初戦敗退してしまいましたが、
高校生相手に最後まで挑み続けていた様子。
悔しさをばねに、
これからも練習に励んでいってほしいと思います。





その後腹ごしらえのため、
松島の食事処が建ち並ぶ通りへ。


隣り合わせである東松島市と比べ、
ほとんど被害がなかったと言われる松島市ですが、
ほとんどの店の一階部分は波をかぶり、あちこちにブルーシートがかけられていたり、
中にはめちゃくちゃになった状態のままになっている店も。

枯れた松。_b0174350_17422182.jpg

この松の木は、
本来であればこの時期、葉が濃い緑へと変化していくはずなのですが、
塩水をかぶったために枯れてしまっていました。

あちこちで、赤くなってしまった木々や草花を目にしました。




その後塩釜へおりていくと、
目を覆いたくなるような景色が。


私がボランティアで行った山元町も津波被害を受けた地ですが、
塩釜は何度も訪れている、より身近な場所。
そこがこんなにもひどい状態になっているという事実を、
映像ではなく自分の目で知り、
言葉を失いました。

建物の上に乗っかったままの船や、
ひん曲げられたガードレール、
なぎ倒された倉庫や、
木材や鉄材に押し潰された車。

私が恩師や幼なじみと歩いた道を見ると、
背の高さを越えるところに津波の跡が。



その後車は七ヶ浜方面へ。

高台から海岸へと続く道を下った時、
フロントガラスの向こうに、
白波をたてた海が見えました。



海を見て「こわい」と思う自分がいました。

山へ足を運ぶことが多いものの、
島へ行くときは、
わざわざ船の甲板に立って、ずっと眺め続けていたほど魅かれていた海。

そんな海に対して、
一瞬でも「こわい」と思ったことに、
なんだか悲しくなりました。


七ヶ浜は、
何もかも津波に流されていました。

住宅地に残っているのは家の基礎部分だけ。


父は「だいぶ片付いた」と言っていました。
撤去作業が進んでいるとのこと。
でも、撤去作業の後に残されたのがこの景色なのかと思うと…
胸が痛くなりました。



基礎の角部分には、
布袋さんの置物や、
アンパンマンの目覚まし時計、
トロフィーや熊の置物などが、
目印のように置かれていました。

置物に心があるとしたら、
この光景を見て、
みなきっと止まることのない涙を流しているだろうと思いました。




胸の奥が締め付けられるような気持ちになりました。

長い時間をかけてできた町が、
一瞬で壊されてしまった。
0からのスタートではなく、マイナスからのスタート。
何年かかるかも分からない復興までの道のりの中で、
人の心が強く在り続けることは、
本当に難しいことだと思います。







被災地で、
前向きに一生懸命頑張っている人々は、
たくさんいらっしゃいます。
でも、数ヶ月、数年という、
復興までの間中ずっと、
そのように気持ちを強く持って歩んでいくことは、
どんなに強い心の持ち主であっても不可能です。

政界が意味のない争いを続ける間も、
人々の疲れはたまっていくばかり。

今後人々がすべきことは、
建物や道、経済などの復興に目を向けることだけではなく、
被災者の心に目を向けることなのではないでしょうか。

「心」はそんなに強くありません。









人の心が枯れないよう、
どんな水を創っていくべきなのか…
私にはまだ分かりません。

でも、どんな人にも、
その人だからこそできることがあるはず。
自分を改めて見直す時。
それが今。

私はそう思います。
by kazeyohuke-byun | 2011-06-06 17:42 | ひとり言。 | Comments(0)